皆さん、こんにちは。shibuya1000 スタッフブログでは、イベントにご参加いただいておりますコンテンツメンバーの方々に寄稿いただいております。今回はshibuya1000とのコラボレート企画【shibuya1000 × loftwork 『渋谷1000人顔 -シブヤビト-』】をプロデュースいただきました株式会社ロフトワーク・中尾 妙(なかお たえ)さんです。shibuya1000の話題づくりの一環として、 「1000人顔」がどのようにして生まれたかなど、その背景をまとめたコラムを寄稿くださいましたのでご紹介いたします。
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コンコースに並ぶ「渋谷1000人顔」は圧巻!
今年で3年目を迎える、アートイベント「shibuya1000 -シブヤ・アーバン・エキスポ2011-」(以下shibuya1000)が2月5日10:30に開幕しました!
2月13日まで渋谷駅地下コンコースを中心に開催されていますので、是非皆さんも足を運んでみてください。地下鉄副都心線13番出口から改札へのコンコースにずらりと作品が並ぶ景観は圧巻です!
ロフトワークは毎年、数あるshibuya1000の企画の中でも「渋谷1000人顔」という「渋谷」や「渋谷の人」にフォーカスした作品展覧会をクリエイターの方々とつくってきました。しかも、今年ははじめて、「渋谷1000人顔」展示作品をloftwork.com上で、オープンに募集をしました。そんな中で楽しかったこと、苦労したこと(!?)を振り返りつつ、今年のshibuya1000を担当ディレクターの中尾がレポートします!
▶[loftwok.com特集] shibuya1000 「渋谷1000人顔」出展作家・作品テーマを一挙紹介!!
loftwork.comで開催した「1000人顔」公募のポイント
公募企画

loftwork.com 公募ページ
クリエイティビティを引き出すために
今回の作品公募企画は、ロフトワークから提案させていただきました。公募の中でも重要なのは、クリエイターが参加したくなるようなテーマ設計をすることです。特に私が気を遣ったのは、なるべく表現の幅をもたせたいと思っていたので、共通テーマをシンプルにすることでした。なので、募集時の共通テーマは、「渋谷」と「顔」のみに。また、それぞれの作品にクリエイター自身が考えたコンセプトも一緒に提示いただくプレゼンシートフォーマットを用意し、審査時により作品の意図が理解しやすく、伝わりやすくなるようにしました。
▶[公募概要] 写真&グラフィック募集 『渋谷1000人顔 -シブヤビト-』
公募PR

Twitterからも積極的に情報発信
より多くの人に参加してもらうために
loftwork.com上で公募ページがオープンしてからは、より沢山の人々に知ってもらい、作品を応募していただくために、loftwork.com上での告知はもちろんのこと、Twitter、mixi、Facebook等のソーシャルメディアで情報発信をしたり、メディアへ働きかけ、クリエイティブ系のメディアに掲載いただく等の宣伝活動に励みました。また、地道な手段でしたが、クリエイターの年齢層にも幅を持たせたいと考えていたので、渋谷に近い写真学校やグラフィック専門学校や、地域の御年輩の方々が通うような写真クラブ等にも積極的にお知らせをしました。
作家選定

(左から)【グラフィック部門】 審査員 北川 一成 氏(GRAPH アートディレクター)、【写真部門】 審査員 野村 佐紀子 氏(写真家)、浅田 政志 氏(写真家)
プロフェッショナルの眼と力
今回、グラフィック部門と写真部門をわけたので、各部門に審査員をたてました。それぞれ各分野の第一線で活躍するトップクリエイターにご協力いただき、大変ありがたかったです。選定のポイントは、コンセプトである 「渋谷」「顔」が豊かに表現されているか、作品の技術的なクオリティは水準に達しているか、公序良俗に反していないか等でした。
展示サポート
フィードバックが重要
写真部門では、審査員の方とロフトワークで話し合った点をベースに、方向性や、改善点等作品へのディレクションをしました。例えば、「とても実験的で面白い作品なのですが、色やポーズ、場所がばらばらなので、なにか一つ共通のアイコンやコンセプトをもたせると、更に面白い作品になると思います…」等作品への感想と、具体的な方向性を伝えるなど、より良い展示づくりをサポートしました。また、審査員からのコメントはクリエイターの方々にフィードバックしました。
大成功! 1カ月の公募期間で素晴らしい作品が集まった
37名のクリエイターによる400点以上の作品
公募期間が約1カ月と非常に短期間であったのにも関わらず、多くの応募があり、最終的に計37名のクリエイターによる400点以上の作品を「1000人顔」に出品することができました。
バラエティ豊かで高いクオリティ
今回、何より素晴らしかったのは、残念ながら落選した作品を含めてみても、どの応募作品も個性に富み、作風が似通っていたり、クオリティが水準に達していない作品がほとんどなかったことです。そのため、審査時は大変でもありましたが…。

たくさんの作品が集まった / 審査の様子(左:GRAPH北川さん、右:写真家 野村さん)
グラフィック部門の審査員のGRAPHアートディレクター北川 一成さんからは、「今回、大きな規模の公募ではありませんでしたが、応募数が数千点の公募のレベルでも出会えないような、「いいな」と思えるような作品があったのが嬉しかったですね」、写真部門 審査員写真家の野村 佐紀子さんからも、「7人それぞれ面白い作品が集まって展示が楽しみです」と、それぞれ嬉しいコメントがいただけました!
成功ポイントはどこだろう?
みんなでコラボレーション
さて、担当ディレクターとしてはとても良い結果だったと思う今回の公募と「1000人顔」ですが、何が成功ポイントだったか、ちょっと考えてみたいと思います。まず、一番はなによりも実行委員会や各コンテンツ関係者、地域住民の方々も巻き込み、アウトプットを作りあげることができたこと。参加していただいたクリエイターの皆さんにも単純な公募だけでなく、shibuya1000そのもののコンセプトや、意味、価値を伝えることで、「渋谷を盛り上げる活動」に「参加する」という意識がめばえ、一体感があったのではないかと思います。
shibuya1000のコンセプトの良さ
渋谷の価値を生んでいるものの一つとして、文化やそこに集う人にフォーカスした点や、最大の特徴である、作品の展示場所が駅という公共性の高い場所であるということも良かった点だと思います。「shibuya1000」というイベントコンセプトは多様でエネルギッシュなイメージが伝わってきますよね。また「みんなでつくる」とい意味で関係者に年齢やジャンルの幅があり、バラエティに富んでいることも素晴らしいと思います。
ソーシャルメディアで口コミ効果!

RTしてくれたたくさんのTwitterアカウント!
公募がオープンした際に、Twitterでつぶやいたところ、その日の内に数百のリツイートと、1000件以上のTwitter経由の訪問者がありました。ロフトワークアカウントには多くのクリエイターがフォローしてくださっています。クリエイティブに関心の高いフォロワーからフォロワーへ、口コミで広く拡散したことが短い公募期間に予想を上回る応募数につながったと思います。また、手前味噌ですが、ロフトワークのPRスタッフのサポートも少なからず貢献し、オンラインでのPR、メディア掲載、オフラインでの地道な告知活動も成功ポイントの一つだと思います。
「loftwork.com」の実績

1万5千人が登録するloftwork.com
そして、10年間続けているloftwork.comはクリエイターポータルサイトとして、1万5000人が登録し、国内最大級の規模にまで成長しています。継続している中で、「クリエイティブの流通」というミッションのもとに、様々な公募やコラボレーション企画の実績をだしてきました。また、何より登録クリエイターの方々の作品のクオリティが高く、表現メディアの幅も広く、価値の高いクリエイターネットワークを実現できていると自負しています。loftwork.comクリエイターのクオリティの高さもまた、この企画が成功したひとつの要因ではないでしょうか。
振り返ってみて…

道行く人も注目してくれるのがうれしいです
一番大切にしていたのはコミュニケーション
このshibuya1000とのコラボプロジェクトには、社内でのディレクター募集時に自ら手を挙げました。「クリエイティブの流通」を体現する企画がもともとやりたかったので、担当できて嬉しかったです。 進める中で難しかったのは公共性の高い場所への展示ということもあり、公序良俗の側面から表現をどこまで制限するか、という点。表現として退屈なものになってしまわないか?展示の時点でNGがでてしまったら?など、コアメンバーでたびたび頭を悩ませる場面も。ここは今後の課題点でもあります。

展示はたくさんのボランティアの力あってこそ!
進める中で一番大切にしていたのは、クリエイターとのコミュニケーションです。「公募」とはいえ、単に「集めて選定する」という意識で関わることだけは絶対したくありませんでした。応募してくれたクリエイターは、このプロジェクトに参加してくれたメンバーだと思い、仲間としてのコミュニケーションをこころがけました。中間に立つ立場だったので、クリエイターと事務局のハブになり、最大限作品が良く見える方法を模索したり、作品自体への感想を伝えたり…些細なことなのですが、そのやり取りでクリエイターとの距離を縮められたことが、プロジェクト自体を楽しく、円滑に進めらたポイントかなぁと感じています。また、オンライン上だけでは出来ない、展示というリアルへの展開をまたオンラインで広げる…というサイクルが面白かったです。

みんなでつくる!
ダイナミックで多様なイベントだから面白い!
オープニング当日に会ったクリエイターからも「自分の作品が大きく展示されるのが純粋に嬉しいです」と感想をいただきました。また、オープニングに出席し、改めて感じたのは、関係者のバラエティが豊かなことです。地域の町内会長や、大学教授に交じって、スタッズだらけファッションに身を包んだ若者がいたり…これも、ダイナミックに人を巻き込んだクリエイションイベントの面白さの一つだと思いました。展示作品からもその多様性のエネルギーは感じられます。
みなさんも是非渋谷駅で「shibuya1000」のパワーを体感してみてくださいね!
最後に。shibuya1000を支えた中心人物の一人、辻香(ツジカオリ)さんが、ご病気のため逝去されました。ご逝去を悼み謹んでお悔やみ申し上げます。

執筆者:中尾 妙
中尾 妙 Tae Nakao
部署・役職:クリエイティブディレクター
看護学校卒業後、正看護師として医療センターの小児科に勤務。医療現場で経験を積んだのち、もともと関心の高かったファッション誌業界に飛び込み、雑誌の企画編集からアパレル関連SPツールなどの様々なディレクションに携わる。退職後、2児の子育てに3年間専念し、2010年、ロフトワークに入社。現在は、他業界での豊富な経験と持ち前のバイタリティを駆使しながらコンテンツ運用をメインに活躍中。